「んなっ!!サクラちゃん、それはないってばよ!!」
「なによナルト!文句あるなら食べなくても良いのよ!?・・・はぁーい、サスケ君!これね、私の自信作なの!」
「・・・まずくは、ないな」
「だぁから!!なんでサスケのはでっけぇーのに俺のはちっせぇーんだってばよ!!」
「あのねナルト、あんたとサスケ君じゃ私の中での順位っていうの?その差はガイ先生とカカシ先生の温度差くらいの差があるの、これが現実なの!」
「ガイ先生とカカシ先生の温度差?・・・ひっでぇ!!サクラちゃんひでぇってばよ!!」



ムキーッ!とサスケを睨んだ後、文句を言いながらもへらっと笑って弁当に手を伸ばす
サスケと自分との差は明らかだが今に始まった事じゃない
ガツガツと味わう事もせず平らげていけば、サクラが“だからアンタには作っても無駄なのよ・・・”と呆れ顔



「・・・あぁ!」
「な、なによ急に!まさか、それだけガツガツ食べてて・・・マズイ、なんて言うんじゃないでしょうね?」
「違うってばよ!俺、トイレ!」
「ちょっ、ナルトーっ!!!」



食べかけの弁当を、女の子らしくサクラがひいたシートの上に置いて立ち上がる
食事中に何を言っているんだと激怒するサクラから逃げるようにナルトは駆け出した
生い茂る森を抜けた所でナルトの身体が揺れ、ひとつがふたつになり、その影は顔を見合わせると違う方向へと散った





+++





「なんで俺じゃなくアイツに行かせた?」
「カカシの奴が何やら探っているようでな、昼間お主が動くのは控えようと思ったんじゃが・・・」
「それでこの様か?三代目火影も終わったな」



静かな外と切り離された空間に、低く冷たい声が歪んだ口元から流れる
この里の長であり、誰もが尊敬し慕う火影を、影は壁に凭れ掛かるようにして睨み付けた



「で?暗部の奴等じゃ手に負えないからって、昼間動くのはマズイと待機させられてた筈の俺に行けって?」



随分と上の連中は都合が良いんだな、口元を歪ませここにはいない上層部に向け鋭い言葉を紡ぐ
どこまで人を駒扱いしたら気が済むんだ
いやそれはきっと、永遠に変わる事はないと浮かぶのは諦めた笑み



「腐ったこの里の為でも、上の連中の為でも、ただ命令を下すだけのあんたの為でもない。俺はあいつの為に、尻尾振ってやってるんだ」
「・・・わかっておる」
「わかってる?ハッ、わかってないからこうなってるんだろ?」
「・・・引き受けてくれるのだろう?」
「引き受けるんじゃない、これは俺の意思だ」



温かくて、居心地が良くて、全てのものから守ってくれる
お金に困る事も、食べ物に困る事も、何に困る事もないその場所

敵ばかりの世界
落ち着ける、心安らげる場所はたったひとつ
それがたとえ逃げだと言われても構わない
俺が俺でいられる、俺を俺として見てくれる、その場所を俺は守る為にこの手を赤く染めるんだ



「・・・ナルト、待つんじゃ!これは正式な任務、お主の勝手な行動は・・・っ!」



入り口の扉に手を掛け、首だけ振り返った影・・・ナルトは、何も映さない瞳を火影へと向ける
無邪気だった笑顔は消えた
明るく元気な笑い声はもう聞こえない
こんな筈ではなかったと、自分の不甲斐なさ、火影という地位に立つけれど何も出来なかった事への結果



「あいつが俺の傍を離れる時、それが――――― ・・・俺の、腐ったお前達に牙を向ける、その時だ」



静かに、地を這うような低い声を残しナルトは一瞬にして消えた
今までこの場所にいた筈なのに、確かに言葉を交わしていたのに、存在していた事さえも残さずに

(すべてあなたのため)

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こちらのタイトルは [涸れる空:ナカハラ様] からお借りしました。
変換処理をしようとしてふと気づきましたが、名前変換なしで申し訳ない・・・!
スレナル夢を気に入った下さったという方がいましてですね、それで調子に乗って書いてしまいましたが、なんていうか意味不明?w
この話のナルトは三代目も信用していないというか、こっちのナルトの方が主人公以外はどーでもいいって感じですかね
スレナル書くのは好きなので、ネタがあったらまた書いてみようかなぁと思います