、王子お腹空いたんだけど」
「うん?」
「オレの分も作ってよ。明らかにそれ、1人分でしょ」
「なんで?」
「王子お腹空いたから」
「冷蔵庫になんかあるんじゃない?」
「・・・なぁマーモン、こいつ殺していい?」
「僕は構わないよ」


ソファーに座ってたマーモンがこっちも見ずに答える
あらら、そんなに簡単に言っちゃっていいの?王子本気になっちゃうよ?


「だってさぁ〜?お許しが出たし、ちょっと遊ぼうよ


仲の良いマーモンからそんな事を言われたの反応が気になったけど、振り向いた瞬間に何かがオレの横を飛んだ
何が起こったのか確認する前にオレの頬から赤い血が伝う


「ベル、あたしの作った物を食べたいなら "血塗れの姿で″このリビングに入って来ないで」
「なぁ、今なにしたの?オレの頬切れたんだけど」
「血塗れじゃ傷の手当ても出来ないよ?ほら、早くシャワー浴びてきなよ」
「うししっ!やっぱイイね、ってサイコー!」


どうやって王子の頬を傷つけたのかは知らないけど、油断してたわけじゃないオレに傷を付けるなんてさすがだね
1ヶ月前にヴォリアーに入った新人
マーモンがヴォリアーに入る前からの付き合いらしいけど、何か2人を見てると "昔の知り合い″って感じじゃないんだよねぇ


、この間の紅茶の葉はないの?」
「あれ気に入った?」
「それなりに美味しかったよ」
「それなり?素直じゃないね、相変わらず。いいよ、今飲む?」
「ミルクじゃなくて ――― 「食事前だからストレートでしょ?」 ――― ・・・早くね」
「りょーかい」


ほら、なんかムカつく
言わなくてもわかってるっていう空気がなんかムカつくんだよね


「・・・ベル、殺されたいの?」
「うししっ!に殺されるならいいかなぁ〜?簡単には殺されないけどね」


ぽたぽたとクリームソースに赤が落ちて広がっていく
これじゃあ作り直しだね?って言ったら "マーモンは気づかないでしょ″なぁんて予想外の答が返ってきた
後ろから抱きついたままが白いクリームソースの鍋を掻き混ぜる様子をジッと見る


「マーモンに嫉妬するなんて、ベルらしくないよ」
「・・・王子は嫉妬なんてしな〜いよ」
「じゃあ離してよ。それと、今すぐシャワー浴びてきて」
も一緒に入ればいいじゃん。も血塗れだよ?」
「誰のせいだと思ってるの?」


の白いキャミソールが赤く染まる
オレの血だったらいいのになぁと思うオレはそろそろ末期かもしれない


、やっぱ王子嫉妬してるかもしれない。責任とってよ」


オレだけの物になればいいのに手を伸ばしてもすり抜ける
どんなにオレが名前を呼んでも、にたったひとこと "ベル″って呼ばれるだけで心が落ち着く
なんだろ、王子らしくないと思っても腕の中のが誰かのものになるなんてイヤだ


「責任とって欲しいの?」
「っていうか取るのが当然だよね。王子のオレをここまでオカシクさせるんだから」
「そう・・・別にいいよ?」
「さっすが、じゃあ一緒に ――――― ・・・っ!?」


何が起こったのか王子のオレにもわからなかった
キッチンに向うを後ろから抱きしめてた筈なのに、目の前には逆さになったマーモンの呆れた顔


「・・・ベル、の事をわかってなさすぎだよ」
「・・・マーモン、何が起こった?」
「君がに吹っ飛ばされたんだよ。それすら見えなかったなんて、まだまだだね」


"本当に殺されなかっただけマシだよ″とマーモンはしれっとした顔でからカップを受け取った
身体を起こしてを見上げれば、オレなんか視界にも入れずにキッチンへと戻っていく


「・・・うししっ!おっもしろいじゃん。サイコー」
「ベル、いつからMになったの?」


小さくマーモンの声が聞こえたけど無視して立ち上がる
呆れたマーモンの溜め息が聞こえたけど、そのままオレは懲りずにの背中に飛びついた


「責任取ってくれるんじゃなかったの?」
「ベルがあたしに勝てたら、責任とってあげるよ」
「そんな事言って良いの?オレ、王子だから不可能ないよ?」
「そう?じゃあ楽しみにしてるよ」


ふわりとが笑う
ふ〜ん、そんな顔も出来るんだ
マーモンはとっくに知ってるのかと思うとまたムカついて、オレはの頬にちゅっとキスをして
今度は攻撃される前にさっと飛び退いてリビングを飛び出した

いいよ、近い内に責任取らせてあげるから

(新しいおもちゃ)

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(素顔が見たい・・・っていうか、未来編まったく本誌みてない・・・)