「サスケの部屋って、眺めが良いよね」
「そうか?」
「うん。夜景とかさ、凄い綺麗じゃん」
いつもココに来ると思う
大きな窓から見てる景色もそうだけど、これまた大きなテラスに出れば凄く綺麗な景色
ココから見る里が、あたしの一番のお気に入り
「風邪、引くぞ」
「ありがと」
そっと肩に掛けてくれたサスケの上着
ぎゅっと襟とを握って顔を埋めれば、ふわっと香るサスケの匂い
香水をつけてるわけじゃないのに、すっごく良い匂い
この匂いに包まれてると、凄く安心するんだ
「サスケ、大丈夫?身体、呪印で上手くチャクラコントロール出来ないんでしょ?」
「あぁ。でも、大した事ない」
「・・・・・・」
本当に聞きたい事は聞けない
急に、今日ココに呼んだ、本当の理由
いつも、自分から呼んだりしないサスケが呼んだ理由
あたし、判らない訳じゃない
大蛇丸に呪印を施された時、言ってた言葉が頭から外れないんだよ・・・?
『サスケ君は必ず私を求める・・・・、力を求めてね』
その意味が判らない程、あたしはサスケの事知らなくないんだよ
サスケには、”復讐”って言う大きな目的がある
その為に、誰よりも強くなりたと願ってる
そして、ナルトとの力の差に劣等感を感じてるのも・・・
サスケだって十分強いのに
でも、ここの所急激に強くなったナルト
どんどん成長してくナルトに、焦りを感じてるのが手に取るように判るんだ
「・・・」
「ん?あっ、寒い?中、戻ろっか」
「・・・・」
サスケの顔を見る事が出来なくて、逃げるように目を伏せて部屋に戻った
今、サスケの顔を見たら我慢出来なくなっちゃうから
泣きついて、どんな事をしても”行かないで”って言っちゃうそうだから・・
「あのね、サスケ」
「どうした?」
ベットの上に座って、たくさんある枕の一つをぎゅっと抱きしめた
前には胡坐を書いて座ってるサスケ
どうしても、サスケには言っておきたい事があるんだ
「あたし、今のサスケが好きだよ・・・」
「」
「向ってる先が、例え応援できるような事じゃなくても」
「・・・」
「でも、それでもね?・・・何かに、一生懸命向ってるサスケは好きだよ」
「・・・・」
「好き・・・、だからね・・・」
そっと抱き寄せてくれた腕が温かくて
背中に回された腕が力強くて、耳に届く心臓の音がリアルで
思わず、涙が出そうになった
サスケの胸に顔を押し付けて、ぎゅっと目を瞑った
「・・・。俺は、今までずっと兄貴に復讐するだけを考えてきた」
「・・・うん」
真剣に話すサスケの声
やっぱり・・・、決めたんだよね?
「その為に、強くなりたいって思った。いつか、兄貴を殺す為に」
「・・・っ」
「何もかも、復讐の為に否定してきた。仲間さえも、信じる事をしなかった」
「・・・・う、ん」
「・・・でも、に出会って・・、俺は変われたんだ」
サスケの言葉が、固く閉ざしていたモノを溶かしてく・・・
縋り付いて泣きたい・・・よ
でも、微かに残った理性で堪える
今泣いたら、絶対にサスケを止めちゃうから
行かないでって、サスケが困るって判ってても言っちゃう・・・
サスケに、うんって返事する事で精一杯だった
「あいつ等の事、信じれるって思えた。・・・、誰かを守りたいって、そう思えた」
「・・サスケ」
「昔に、戻れた気がした・・・。誰かと一緒に、力を合わせて何かと成し遂げる事の大切さを教わった」
サスケの言葉一つ一つが、心に痛く突き刺さる
判ってるよ・・・・、サスケが変わった事
ナルトを庇ったって、死にそうになった事
髪を切ったサクラに、本気でキレた事
戦闘の最中、いつも仲間の事を考えて行動出来るようになった事
近くで成長してくサスケを見てたんだ
凄く嬉しくて、いつも”やっぱりサスケが好き”って再確認させられた
あんなに小さく、復讐に燃えてた背中が
いつしか、大きく、頼りになる、仲間として自慢の背中に・・・
一緒に任務をこなす内に、どんどん大きく成長してたサスケ
あたしも、何も出来ないままの女じゃ嫌で
いつまでも、サスケの後ろに隠れてる女じゃ嫌で
後ろについて歩くんじゃなくて
隣を、いつでも歩いて居たかったから
守られるだけじゃなくて、サスケを守ってあげれる存在で居たかったから
支えてもらうだけじゃなくて、支え合っていける存在で居たかったから
ずっと、一緒に歩いていきたいって・・・・そう、思ったから
その日は、一緒にぎゅっと抱きしめあったまま眠った
離れたくないって
その手を離さないでって
叶わぬ想いを胸に抱いて
「・・・・」
サスケがそっと腕を解く
音を立てない様にって・・・・、あたしを起こさないようにって・・・、
そんな小さな気遣いが、たまらなく嬉しくて・・
「・・・」
名前を呼ばれた瞬間、髪を梳かれる感覚
寝たふりをしているのが、どんどん限界になってく
心の中で
”行かないで”
って
口に出すことの出来ない想いを、何度も何度も唱える
「・・・お前を好きになって、本当に良かった」
もう、何もかもが限界で
涙を我慢する事が出来なくて
でも・・・、それでも、泣けなくて
寝返りを打つフリをして、サスケに背を向けた
伸ばしたくなる手を、ぎゅっと胸に抱いて
”行かないで”って言いそうになる口を、ぎゅっと噛み締めて
涙が流れそうになる目を、ぎゅっと瞑って
サスケの気配がだんだんと離れてく
カタンッと、何かが倒される音
そして、ドアに手をかける気配
今すぐ、ベットから飛び出していきたかった
引きとめ、たかった
でも・・・・
「・・・・ありがとう、」
ドアの閉まる音を聞いて、耐えていたものが一気に溢れ出した
涙が次から次に流れ出て、抱きしめた腕に爪が食い込んで痛くて
声を出す事が出来ない
息をするのも大変で
目の前は完全に見えなくて
只、微かに残ったサスケの温もりだけが
静かに、あたしを包んでた
あたしが止めない事・・・、サスケは判ってた
あたしが起きてたのも、サスケは気づいてた
判ってて、あんな事言うんだもん・・・っ
涙と止める事なんか出来なくて、枕をぎゅっと抱いて
声を押し殺して泣いた
泣いて・・・、泣いて・・・、泣いて・・・・、
涙が枯れる事なんか無くて
これがサスケにとって良い事だったのかなんて、考えなくても判ってて
あたしが、本当はどうになきゃいけないかも判ってて
あたしのした事が、どれほどの事かも判ってた
でも・・・・
やっぱり・・・・、
あたしに止める事なんて出来なかった・・・・
(言葉に出せない想い)
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(なんていうか、本紙の方はとんとご無沙汰でどうなってるのかさっぱり・・・!)