任務に向かう時、必ずすれ違う団員の人が "いってらっしゃい″と声をかけてくれる
それは任務を終えて戻ってきた時も同じで、教団にはじめて来た時にリナリーが言っていた "ここを家だと思う人も多い″という言葉に納得する
僕も君と出会うまでは、あの場所が "帰る場所″なんだと思ってた



「アレン、逢いに来てくれるのは嬉しいけど・・・そんなにあたしの生活を苦しくしたいの?」
「へ?そんな事思ってるわけないじゃないですか。どうしてそんな事言うんですか?」
「どうしてって・・・。来るたびに "美味しい″って言って料理を食べてくれるのは嬉しいけど、ここは黒の教団でもないんだから少しは遠慮してよ」



溜め息と同時に、は困ったように笑う
そう言えばの手料理が美味しくていつも通り食べてたっけ・・・参ったな、言われるまで気づかなかった



「嬉しいけどね?最近逢いに来る頻度も多いし、さすがに少し遠慮して欲しいな?」
「え?そんなに僕、ここに来てますか?」
「・・・今月に入ってもう4回目だよ?」
「えっと、今日が12日でしたよね。って事は・・・」
「だいたい1週間に2回のペースで来てるよ、最近のアレンはね」



思わず飲みかけた紅茶を吹き出した
こういう時だけ能力を発揮するはひらりと避けて "・・・汚いよ、アレン″と言って遠慮もなしに顔を歪める
謝りながら汚れた口元とテーブルを拭いて、新しく紅茶を淹れてくれたを見上げる



「それだけ僕が、に逢いたかったって事ですよ」
「敵なのに?」



口に運ぼうとカップを持った手が止まる
迷う事無くの口から飛び出した "敵″という単語
見上げたの顔は発した言葉とは正反対に、僕の好きな柔らかい笑みを浮かべていた



「あたしはアレンが好きだよ」
「・・・僕も、が好きですよ」



隣に座ったが、こつんっと僕に寄り掛かる
触れ合う温もりは確かに此処にあるのに、と僕の間には絶対的な壁がある
認めたくないと、どんなに否定してもの額に浮んでいるソレが僕とは "敵同士″なんだと主張する



「・・・
「うん?」



華奢な肩を抱き寄せて、細い首筋に顔を埋める
ふわりと鼻に届くの甘い香りに酔いそうになりながらも、僕はまだ捨て切れない "理性″に唇をキツク咬んだ



「家でのんびりするばかりだから、今度は海に行こう」
「海かぁ・・・。アレンは泳げなさそうだけど、大丈夫なの?」
「馬鹿にしてるんですか?僕だって少しくらいは泳げますよ。・・・そりゃ、ラビのように得意ではありませんけど」
「ラビ?あぁ、あのうさぎちゃんね。あの子、泳ぎよりも海に行ったらナンパが主になりそうだよね」
「あはは、そうですね。ラビはストライクゾーンの女性を見つけると暴走しますから」



クスクスと笑うに、情けなくも僕は泣きそうになる
どうして僕達は敵同士なんだろう
こんなに好きなのに交わる事のない僕との道

   ――― 交わるとしたら、それはお互いに "終焉″を向かえた時

どうして僕はエクソシストなんだろう
ただのアレン・ウォーカーだったら、こんなに苦しい思いをしなくて済んだのに



「――――― ・・・アレン、好きだよ」



神様は何処までも意地悪だ
こんなにも愛しく、こんなにもを想う気持ちが溢れるのに、決して僕とが笑って過ごせる未来なんてないんだから

(ただ、君が好きなだけなのに)

>> 戻る

Dグレはずっと好きで単行本も持ってたんだけど、途中で挫折というか本誌で十分な愛になってしまった・・・
だけどやっぱりアレン!ラビ!むしろ千年伯爵が大好きだ!